【イヤミスの女王作】「向こう側のヨーコ」読破📕

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イヤミスの女王の異名を持つ真梨幸子氏の「向こう側のヨーコ」。ちょうどカセットテープのようにA面とB面に分けて物語は展開されていく。

A面では女流作家として活躍するヨーコ。B面ではごく普通の主婦として生活するヨーコ。二人のヨーコを取り巻く日常、そしてそれぞれ知人の殺人事件を起点に少しずつ交わっていく。読み始めた当初はいわゆるパラレルワールド的な試みかと思ったが、最後は爽快感すらある。納得のどんでん返しという形で物語は終わる。

イヤミスとはつまり、後味最悪な気分になるミステリー作品のこと。そういう意味ではイヤミスではないのかもしれない。

真梨幸子氏は「殺人鬼フジコの衝動」「5人のジュンコ」など話題になった作品は多々あるが、共通して言えるのは、人間の奥底に溜まったヘドロのような汚い部分をとても精緻に書き表していると思う。今作も健在だ。

「向こう側のヨーコ」のメインとなる登場人物のほとんどは中年女性。心の奥底のヘドロを投げつけ合うような嫉妬、羨望などを軸に、視点を変えながら描かれていく。よそから見たら幸せそうに見える事が実はハリボテのようだったり、殺人事件よりもそういう人間ドラマがメイン。イヤミスの要素のはずの登場人物なのだが、読み進めるとなぜだか魅力的に思えてくる。

個人的にはAV業界を舞台にした「アルテーミスの采配」がオススメ。とにかくドロドロと、誰もが不幸にしかならない物語なのだが、一度読み始めると怖いもの見たさにページをめくる手が止まらなくなる。そして、読後、今自分は普通に起きて

普通に食事して、普通に眠れる毎日を、ささやかな日常を、幸せなんだなと思ったものだ。

気分が落ち込んだ時に、より暗い曲を聴きたくなる時があるが、ちょうどあんな気分で読むとしっくりくる。10月27日〜11月9日は戦後まもない1947年から開催されてる読書週間。読書の秋と言われるようになった由縁のひとつである。

ぜひぜひ秋の夜長のお供に!

 

今日もメンタルは元気。アホと言われるくらいがちょうどいい。ピース✌️