先日ニュースを見ていると頭から離れなくなる映像が流れた。横断歩道で停車しようとした車に向かって1人の男が駆け寄ってきて、ボンネットに飛び乗ると鬼の形相でフロントガラスを殴打するという事件のドライブレコーダーの記録映像だ。
正直、映画のワンシーンやヤラセのような冗談じみた映像に逆に恐怖心を煽られた。
「やめて、やめて!」
という名古屋市内の被害者女性(51)の悲鳴も入っているのだが、被害に遭われた当人はとてつもない恐怖だったと思う。
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物陰から走りこんでくる木崎喬滋容疑者
器物破損の疑いで逮捕されたのは無職の木崎喬滋容疑者(28)。両親に付き添われて出頭してきたという木崎喬滋容疑者だが、動機については「
体調不良でイライラしてやりました」と語っているという。
↑鬼の形相で殴打されたフロントガラスは今にも割れてしまいそうだ
このスタントマンじみた行動はとても体調不良とは思えないが、当人にしかわからない“辛さ”があったのかもしれない。もちろんそれが言い訳にはならないが……。
最近の傾向なのか、今までは埋もれてた事案がネットのおかげで耳目にする機会が増えたのか、こういった事件が増えているような気がする。
警察庁の発表によると平成29年と平成30年の殺人事件の認知件数は微減している。殺人事件は平成25年に戦後初めて年間1000件を下回ってから、そこからは減少傾向にある。目立って増加しているのは配偶者からの暴力事件や児童虐待の検挙件数だ。
体感ではあるが、“理解不能な事件”が増えているような気がする。ガラス叩き割り男もそのひとつだ。
そして先日、自分もまさに理解不能な暴力行為に直面した。新宿で飲んでいた時の事である。
↑新宿ゴールデン街。最近は観光で訪れる外国人が多く、夜は様々な人種で溢れてる
友人達とこじんまりとしたバーで飲んでいると、隣の席にいた30代の青年が話しかけてきた。たわいもない飲み屋の会話だ。そのうちにこちらの酔っ払っている友人とも話し始めたのだが、酔っ払っい同士どうも噛み合ってない。
次第に友人をお前呼ばわりしたかと思うと、目が据わってきた。たしかに友人も酔っ払っていて洋服を着る意味という壮大なテーマで、上から目線で話してはいた。内容もないような話だ。
その話が気に触ったのか、青年は怒鳴るとかではなく淡々とした口調で「殺す」「殺すぞ」と呟いたと思うと、スッと立ち上がり持っていた傘で友人の喉をついた。
30代のどこにでもいる、ごく普通の青年の突然の行為に皆が固まっていると、喉を突かれた友人が青年に掴みかかり顔面を連続で殴打。
そこでハッとなって店員も飛び出てきてみんなで止めたのだ。殴られながらも青年は無表情で友人を見つめて引き下がる様子はなかった。店員が気を利かせその青年を帰らせて終了となったが、
一歩間違えれば大事である。友人もうまく体をひねって避けたのか喉を擦りむいたような傷ができただけで大怪我ではなかった。
しかし、酔っ払っているとはいえ、あのように躊躇なく人に向けて傘を突き出せるあの青年には恐怖を覚えた。
本当にいつどこで、何に巻き込まれるかはわからないものだな、とその日は深夜に家に帰った。ちゃまもハムハムもポッテリも熟睡していて、帰ってこれた事にすごく安堵したのを覚えてる。
こういうニュースを見るたびに3人がこんな理不尽で、避けようのない“イライラ”に巻き込まれないよう祈るばかりである。
辛い時こそ笑ってようって簡単じゃないけど、けど笑ってたいです✌️